2013.04.03
経営
60歳以上の退職した親と同居している場合、親を子の健康保険に入れるという話を耳にします。そうすれば、親は国民健康保険料を支払うことなく子の健康保険から給付を受けることができる、ということです。
健康保険の被扶養者となる範囲は2種類あります。
図を参考にしながら読んだ方がわかりやすいでしょう。
一つは、同居していなくても被保険者の収入によって主として生計を維持している場合。
被保険者の直系尊属、配偶者(戸籍上の婚姻届がなくとも、事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、弟妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
※「主として被保険者に生計を維持されている」とは、被保険者の収入により、その人の暮らしが成り立っていることをいい、 かならずしも、被保険者といっしょに生活をしていなくてもかまいません。
親や祖父母の場合であれば、被保険者の収入で生計を維持しているのであれば、同居していなくても被扶養者にすることが可能ということです。
もう一つは、同居していて被保険者の収入によって生計を維持している場合。
被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
※「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。① 被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
② 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子
※ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除きます。
こちらは、かなり広い範囲の親族が対象となりますが、同居を要件としています。
では、「主として被保険者に生計を維持されている」とは、どのように判定するのでしょうか。
認定対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上、または障害者の場合は180万円未満)であり、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は、被扶養者となります。
つまり、親が60歳で退職して年金収入だけになった場合、年間の年金収入が180万円未満であれば、被扶養者にすることができるかもしれないということです。
※同居の場合は被保険者の年間収入の2分の1未満でなくても一定の要件のもとで認められます。
注意が必要なのは、こちらの但し書き。
ただし、以下の基準により被扶養者の認定を行うことが実態と著しくかけ離れており、かつ、社会通念上妥当性を欠くこととなると認められる場合には、その具体的事情に照らし保険者が最も妥当と認められる認定を行うこととなります。
当然、保険料を節約するために要件だけ形式的に満たしていてもだめですよ、ということですね。
とはいえ、高齢の親を扶養している方、もしくはその予定となりそうな方は知っておいて損はない知識です!
2013.04.03