ブログ

税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2013.12.26

税務会計

共通番号制度のコスト削減効果は?

今年の5月に社会保障・税分野などで共通番号を導入するための番号法が成立しましたが、番号制度の導入によっていくらコスト削減効果があるのでしょうか?

システム構築の費用に関しては、初期費用に3000億円、運用経費に300億円程度が見込まれています。

では、その効果は?というと今までは国会質疑においても明確に示されていませんでした。

そのような中、税制調査会のマイナンバー・税務執行ディスカッショングループで須藤修東京大学大学院情報学環学環長からコスト削減効果の資産について説明があったようです。

[マD1-1] (マイナンバーDG1)番号制度とICTによる社会イノベーション (PDF形式:7327KB)

image

税制調査会(第1回マイナンバー・税務執行ディスカッショングループ)議事録 P9

同時に、北川先生から、コスト試算、現在の番号制を導入した場合に、どのぐらい行政コストを削減できるかを考えてくれと言われ、須藤ユニットと言われていましたが、10人ぐらいで何度もミーティングしてデータを集め、幸い、ある30万人規模の自治体の基礎データを見せてくれるということでしたので、それに基づいて業務フローも全て分析しました。その30万の自治体のデータに基づいて、どの業務が要らなくなる、簡便化できるかを組み立てました。これを全国の市町村を全て合わせて、このような感じになるという概算です。既に何度も記者会見をして、日経はコラムで報道していただきましたし、読売は社説で、国会でこのような議論をしろなどと書いていただいたこともありました。我々の試算では、社会保障や税に係る事務の効率化などで行政分野のコスト削減効果は、全自治体で、年間約3,000億円になります。
それから、もし医療機関で、準公共的分野ですが、番号を使えるということであれば、医療機関の事務の効率化で年間約6,000億の削減効果があるでしょう。ただし、これを行うためには、3年後の法の見直しが附則で言われていますが、それをして、官民連携をお認めいただかなければなりません。
それから、東大病院の医師たちに聞くと、もっといくと思うよと。もし、政府がこのデータを使って、行政機関、自治体が動くなら、重複診療をなくすことができるから、1兆から2兆の間のコスト削減効果は出せるはずだと。須藤学環長たちが言っているのは事務経費だけですが、さらに重複診療を抑止する、防止することに使うことができるなら、兆レベルのコスト削減効果が期待できると言われています。
また、企業内の事務効率化、これは民間で、特に生保、損保のシミュレーションを私も協力して、生保の方々、損保の方々といろいろ試算していたのですが、番号を使って手続を簡略化できれば、年間2,500億円の経費は削減できるでしょう。併せて官民連携を前提にした場合、1兆1,500億円の運用コストを削減することができる。したがって、現在、政府が設備投資に出しているお金は自治体分も含めて二千数百億円という投資額ですが、私はもっと出してもよいと思います、と講演等では言っています。

 

当面の利用範囲である行政分野だけでも年間3000億円を見込んでいるようですね。

さらに、民間分野での利用で年間1兆1500億円。

前述の初期費用3000億円を前提にしているのか等が不明なのですが、具体的な数字が出てきたというのは興味深いですね。

対象となる分野が広いため効果的に運用できればそれだけコスト削減効果も大きいということでしょうか。

セキュリティや個人情報の問題もあり反対論も多く聞かれますが、行政コストの削減に大きな効果があるのであれば期待したいと思います。

2013.12.26