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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2016.04.04

税務会計

平成28年度税制改正の概要

 

平成28年度税制改正について財務省からパンフレットが発行されました。
概要を知っておきたい方はぜひご覧ください。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei16.htm

法人課税

安倍政権の目玉である法人税率の引き下げが一つ目の項目ですね。

国・地方の法人実行税率が平成26年度の34.62%から段階的に引き下げられて平成30年度には29.74%になります。

今年度である平成27年度は法人税率が25.5%から23.9%。
中小企業の年800万円以下の部分は従前通り軽減があり、15%のままです。

法人税率引き下げのための財源として課税ベースの拡大が図られます。
租税特別措置のうち生産性向上設備投資促進税制などが縮減、廃止されますね。

そして、中小企業にも影響が大きいのは減価償却の見直しです。

 

 

 

 

「建物附属設備」と「構築物」に関しては定額法か定率法の選択ができていたものが、平成28年度4月1日行こうに取得等する資産については「定額法」しか選択できなくなります。

欠損金繰越控除が9年から10年になるのは前年の改正事項ですが、平成29年度以後の事業年度で生じた欠損金から対象になりますので、留意が必要ですね。

あとは企業版ふるさと納税の導入についての説明が記載されています。

 

 

 

 

 

消費課税

消費税の軽減税率の対象品目について図解等を交えて説明がされています。

 

 

 

 

 
また、施行のスケジュールに関しても記載されていますので、もう一度確認をしておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 
それから、自動車取得税は消費税10%への引き上げ時である平成29年4月に廃止されます。

 

個人所得課税・資産課税

来年平成29年から適用になりますが、医療費控除の特例が影響が大きいですね。
健康診断等を受けていることを前提として、医薬品等の購入費用が12000円を超える金額から医療費控除の対象となるという制度です。

 
とはいえ、年間10万円が限度とされているため、それほど税負担軽減にならない上に、実務はさらに複雑になってしまいそうです。

平成28年度の税制改正による増減収見込額

最後に、これらの改正でどれくらい税収が変わるのかが一覧表になっています。

 

 

 

 
法人税率の引き下げが3340億円の税収減になるということがわかります。そのための財源として生産性向上設備投資促進税制の見直しがあげられており、2410億円を補填するように読めます。
しかし、詳細は割愛しますが、生産性向上設備投資促進税制は特別償却を選択している場合、課税の繰り延べであり、15年程度の長期で考えた場合、財源を補填していることにはなりません。

また、ここには消費税の軽減税率に関しては載っていないんですね。


別掲として消費税の軽減税率制度の導入による減収見込みがあります。
なぜ、別掲としているかという理由は、これだけ単位が「兆円」だからなんですね。

つまり、前掲の一覧表に載せれば10000億円の減収なんです。

これだけの税収減を本当に選択することが将来のためになるのか、それであれば10%に消費税を引き上げる意味があるのか、あらためて考えていきたい問題です。

2016.04.04