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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2016.11.16

経営

「間接的コミュニケーション術」尾塚理恵子さん

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ナレッジサロンの木曜サロンで先日、尾塚理恵子さんのお話しを伺いました。
尾塚さんは、オリエンタルランド運営のキャンプネポス元館長で全国初の女性民間人小学校校長。

クレーム処理の実例に関するお話は、分かり合えなかった会話の実例として、とても勉強になりました。
お互いが何を前提としているか。別のところで抱えていた問題が、悪い結果を生み出した。

お話しをまとめたので、ぜひご覧ください。

間接的コミュニケーション術-尾塚理恵子(PDF)

【子供と親の関係】

子供は想像以上に良い子を演じている。そしてストレスを抱えている。それがふとしたきっかけで学校で爆発することがある。学校で暴れていた子供と話してみると「しんどい。休みがない」という。毎日習い事で土日も野球。でも「それをお母さんにいうたん?言う勇気もとうよ!それを伝えるのは君がすることだよ!」と伝えた。
翌日、「言ったよ」と報告してくれた。最初お母さん嫌な顔したけど、もう一回頑張っていったら分かってくれた。でも、親としては「なんでそんなこと言うてくれへんかったん?」という想い。言ってくれて嬉しかった、子供が力強く感じたとも。

【学校・先生の在り方について】

毎年夏休みに先生にマナー研修をしていた。もういいというほどくりかえししないと身につかない。先生は社会人経験がないから電話も横柄な態度で電話していることが多い。保護者はみんな社会人。それだけで信用を失ってしまうこともある。
校長になり、おもてなしの精神で思いやりのつながりをつくることを目指した。子供を中心に親、先生、学校、地域それぞれが思いやりのつながりをつくる。しかし、先生からは「学校はサービス業じゃない」という反発も当初あった。

【間接的コミュニケーションのメリット】

保護者向けのサロンとして校長室を開放した。毎月1回2時間学校だよりに案内を出した。15名ほど集まっていた。人間は誰だって面と向かってほめることが難しいもの。校長室では保護者が「○○先生はいつもよくやってくれていて子供も好きって言っています」と素直に言ってくれる。それをその先生に伝えるとモチベーションが上がる。第三者を介して褒めるということが大事。
親が悩みをもっていると子供はよくない。その悩みを打ち明ける場を作った。個別相談の1人サロンもやった。その中で全体で共有すべきことは学校だよりにした。親が担任の先生を悪く言うと子供も悪く言う。だから親と先生がまず良好な関係性をつくことで、子供との関係もよくなる。
子供にも校長室を開放した。すると子供がよくチクりにきた。「担任の先生に言っておいて。」それも間接的なコミュニケーションの一つ。担任に直接チクるとその子も罪悪感を感じてしまう。間接的だとその感覚が少ないのかもしれない。

【クレームの本質的な問題は何か】

小学校の校長になるなら私ができることは何か考えた。キャンプネポスと会社が同じディズニーはクレームの嵐。クレームは実は本当に些細なことが原因であることばかり。
キャンプネポスでのこと。2000円以上利用した場合、駐車券の割引サービスがある。あるとき1970円の利用だった女性が「30円くらい負けてよ」とスタッフに言ってきた。ディズニーリゾートとしてそれは線引きができず公平でないので認めていない。しかし丁寧な説明なしにスタッフは「無理です!」と言った。それに対し女性は「子供に夢を売る施設のくせにその言い方は何よ!」と怒り出して帰った。
そのことを聞いて、そのまま放置したことを叱り、一緒に謝りに行くように言った。でもそのスタッフは「私は正しいことを言っているのに!」という態度だったので、一体どんな言い方をしたのか、お客様はなぜ起こっているのか、もっと相手のことを考えれば違う言い方ができたのではないか、話すことで徐々に自分の言い方がまずかったことに気づいてきた。豊洲の高層マンションである女性の家に訪れると、まだ女性は怒っていた。スタッフはその女性に対して素直に「申し訳ありませんでした」といった。すると、その女性の怒りもおさまった。すると同時に奥から旦那さんが「館長さんまで来てもらってお前は何をやってるんだ!」と怒鳴った。
帰り道、女性が「実は、主人が見てのとおりの亭主関白なんです。それから、子供の中学受験のために豊洲に引っ越してきて学校の先生の指導方針に疑問があっても文句がいえないんです。」そんなストレスが爆発してのクレームだった。
現在のあらゆるささいな出来事をきっかけとしたクレームの原因はそういうものではないか。クレームになったきっかけよりも、その人自身が抱える悩みや問題が根本的な原因。
そこでその女性に「学校の先生に素直にお話ししてみてはどうですか?」とアドバイスした。その後、学校の先生とも良い関係が築けていた様子だった。
そのことを経験していたから、自信をもって保護者の想いには必ず何か理由があると断言できた。それを学校は受け止めてあげなければならない。

【難しい年代の子供とのコミュニケーション】

9歳、小学校3、4年生くらいが一番大事。感情的な幅の広さをもつこと。うれしいこと、楽しいこと、悲しいこと、悔しいこと。
小学校6年生の女子は白けていて難しい。授業の時、どうその子たちの感情をつかむか考えた。
まず「幸せなときってどんなとき?」と聞いて、数人でグループワークをさせた。新しい服を買って鏡の前で見ているとき、という女子の気持ちがわからない男子。でも自分も大きくなったらかっこつけて鏡の前で幸せを感じているかもよ、と教えてあげると「ふーん」と言っていた。自分の当たり前は他人と違うということを気づかせてあげる。ほかには寝てるとき。食べてるときという意見。
じゃあ次に「嫌だなぁと思うときはどんなとき?」と聞いた。すると、意外にも1番は全員そろった。「いじめられるとき」。悪口をいわれるとき、こそこそ話をされるとき。
そして、子供達の感情の幅が振れたうえで「先生の話を5分だけ聞いてくれるかな?」といったら、小6の女子たちは全員前のめりで聞いてくれた。伝えたことは、「人間はプラスの感情もマイナスの感情も両方持っていることが大事。うれしいことがあれば、人を嫌だなと思うこともある。それでいい。でも、しんどくなったときは必ず友達、親、先生、誰かに相談しよう。同じ出来事でも何を感じるか、何を思うかは人それぞれ。話し合うことが大切。」

コミュニケーションとは本来楽しいもの。でも、相手への気遣いがなければしんどくなってしまう。相手への気遣いを大切にしてコミュニケーションを楽しもう。

2016.11.16