2012.04.18
経営
会社員の方の中には、今の会社を飛び出して自分が思う事業をしたいと考えている方もいると思います。
しかし、起業をしてうまくいくのか?起業をするなら今の年齢がいいのか?といったことに悩む場合もあります。そこで起業をする前に、起業の実態調査が参考になるかもしれません。
中小企業白書2011に日本の起業の現状が公表されています。
2007年の調査では起業者は20~30万人いました。また、自分で事業を起こしたいと考えている潜在的な起業家は100万人以上いるという結果になっています。
会社員の起業希望者が近年大きく減少していますが、実際の起業者数はほぼ変わらない結果となっています。
起業家の男女比率や年齢構成の調査結果です。
起業希望者、起業家のうち3割は女性です。また、年齢では30歳代以下が40%を占めますが、60歳以上の方の起業も約3割を占めます。
起業家の年齢構成が高くなっている理由としては、経験や開業資金の問題で若年層よりも起業しやすいことが考えられます。
実際に起業した結果、収入・仕事・生活に満足しているかというと、収入に関しては半数が不満と答えています。しかし、仕事・生活に関しては満足と答える人が約7割となっています。
これは起業してからの年数によると思いますが、当然、起業してから間もない年数では満足する収入を得ることは難しいと思います。しかしおおむね仕事では自分がやりたかったことができ、生活面でも会社員時代よりも自由がきくと考える方が多いようです。
白書では単によりよい収入を求めて起業するだけでなく、既存の環境で実現できなかった働き方・生き方を求めて起業を選択する方が増え、社会の多様性を表していると結論付けています。
厳しい話になりますが、起業してから10年事業を継続している企業は7割。20年事業を継続している企業は5割という結果になっています。
絶えず起業はおこなわれますが、創設後の淘汰も厳しい結果となっています。
起業後の厳しい淘汰に生き残るために、多くの企業が新商品・新サービスを武器に起業しています。市場にこうした技術革新や新しい価値をもたらすという意味で、起業家を増やすための施策が求められています。
最後に、起業の成果を生み出すための要因としては「過去の経験や人脈」が最も多く挙げられています。これは、起業年齢の上昇も原因であると言えますが、起業であっても過去の経験や人脈が重要な成功要因となっていることは面白い結果だと思います。
日本は開業率・廃業率ともにアメリカやイギリスに比べて低く、市場の新陳代謝が活発でないという指摘があります。起業は社会にイノベーションや新しい価値を提供するため、起業者向けの施策が拡充され、また起業希望者に対してもそういった施策が周知されることが必要だと思います。
2012.04.18