2017.09.12
税務会計
平成29年7月に、中小企業庁から「事業承継5カ年計画」が発表されました。中小企業経営者は66歳の経営者が最も多く、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳になるにもかかわらず、6割が後継者未定の状態。70代の経営者でも承継準備を行っている経営者は半数に過ぎません。特に伝統産業に関しては、後継者がいないことで職人の技術が途絶えてしまうことになり、事業承継は大きな課題となっています。
国としては、今後5年間で25万社から30万社を対象に「事業承継診断」を実施し、事業承継支援を行う専門人材の育成・活用を施策として掲げています。
経営者の年齢が上がるほど、リスクを回避する傾向にあり、経営者が交代した企業の方が利益率や売上高を向上させているというデータも中小企業庁から出ています。
では、事業承継について誰に相談すればいいのでしょうか?
「中堅・中小企業の事業承継に関する調査研究(2015年4月)」によれば、後継者問題の相談相手は、「特にいない」が36.5%で最多。「顧問税理士等」は27%です。(複数回答)
廃業時に誰にも相談しなかった理由を聞いたアンケートでは「相談しても解決できるとは思えなかった。」が40%というのは、とても残念に思いました。
事業承継は、経営者個人の資産の承継や税負担のシミュレーションを含め、まず第一の相談相手は税理士であるはずです。しかし、資産の承継だけが事業承継支援ではないところが難しいところなのだと思います。
後継者不在の企業は、そもそも会社の業績が苦しいため、売上を上げる打ち手を見出すことが大切。そして、経営者にとって事業承継での一番の関心は「後継者の養成について」であるという調査結果もあります。
税理士には税のことだけではなく、そうした経営の悩みを相談できる窓口の役割も求められており、その期待に応えられるよう私たちも日々勉強しています!
2017.09.12