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税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと税理士 / 中小企業診断士 / イノベーション・コーディネーターとして働く中で田中慎が考えたこと・感じたこと

2022.04.22

友だちから見た田中会計

開業1年目の確定申告、お願いして本当によかったです。|vol.03前編

「今年もう5回来てるから」

くねくねと曲がる細い路地を、地図も見ずに歩いていく田中慎さんと熊倉さん。大阪駅からJRと近鉄特急を乗り継いで1時間と少し、今回の舞台は三重県伊賀地方の名張市です。桜の花が見頃を迎えた3月29日、城下川にかかる小さな橋を渡り、日本料理「花いかだ」の大将 田中 孝昌さんを訪ねました。田中経営会計事務所(以下、田中会計)との出会いは、2021年夏に開催されたインボイス制度のセミナー。その2ヶ月後に孝昌さんはお店をオープンし、田中会計が顧問税理士としてお手伝いをしています。

開業費用の処理で損をしないよう、1年目の確定申告が大事です。

熊倉:確定申告おつかれさまでした。その後もちゃんと日々の入力をしてくださっていて、素晴らしいです。

孝昌:スマホから経費の入力はしてますけど、それだけでよかったですよね?何か抜けてたりしませんか?

熊倉:いえいえ、ばっちりです。

孝昌:よかったです。確定申告が無事に終わってほっとしました。右も左もわからない状態から色々と教えていただいて……本当に助かりました。自分一人でやっていたらと想像すると、恐ろしいですね。税金の額がすごいことになっていたと思います。

田中:開業の時は投資額が大きいので、どう処理するかの選択肢が多いんですよ。数年先まで見据えて考える必要があるので、1年目からお手伝いさせてもらえてよかったです。2年目から僕らが入っても、開業費用の処理に関してはもう手遅れなので。

孝昌:最初は自分でやろうと思って、インボイス制度のセミナーを聞きに行ったんです。その後の個別相談で、運営の方が「絶対、田中先生に任せた方がいいです!」ってすごく熱心に勧めてくれて。

田中:なかなか強引でしたよね。紹介手数料とか払わなあかんのかなと思いました(笑)

孝昌:でも本当によかったです。料理の仕事しかしたことがないので、経理のやり方なんて全くわかりませんでしたし。最初から信頼できる税理士さんに出会えて幸運だと思います。しかも、パソコンが苦手な私でもできるようにやり方を考えていただいて。

熊倉:1月からのお手伝いでしたが、日頃からきちんとレシートなどを整理してくださっていたおかげで、とてもスムーズに進みました。お客さんによっては段ボールにぐちゃぐちゃに詰め込まれた状態からスタートすることもあるので、ありがたかったです!

地域の行事がお店の名前の由来に。来店をきっかけに、名張のことを知ってもらいたい。

田中:あたたかくなったので、前の川沿いの道がすごく気持ちいいですね。改めていい場所やなと思いました。

熊倉:独立される前は奈良ホテルの日本料理店で働かれていたんですよね。なぜここでお店を始められたんですか?

孝昌:たまたま知り合いが紹介してくれまして。名張には20年以上住んでいたのに、この道を一度も通ったことがなかったんですよ。名張ではこういう小さい路地のことを「ひやわい」って言うでしょ。水路もあって、いいところやなぁって。ちょうどそれが6月で、花いかだの時期やったんです。この地域の初夏の風物詩でね、花菖蒲(はなしょうぶ)を乗せた大きないかだを川に浮かべるんです。

熊倉:まちの行事が名前の由来だったんですね!気になります、花いかだ。6月にまた見に来なきゃですね。

孝昌:ハナイカダっていう植物もあるんです。お茶室に生けるお花なんですけど、ちょっと変わった姿をしていて、葉っぱの真ん中に花が咲いて実がなります。葉っぱがいかだに見えるんですね。外に植えているので、よかったら後で見てみてください。もうすぐ花が咲くと思います。こうやって色々なことを知っていくうちに、花いかだっていい名前やなぁと思って。行事を主催している川の会・名張という団体さんに、お店の名前に使っていいですかと聞きに行きました。

こんなお花が咲くそうです

田中:ハナイカダの花も見てみたいです。季節ごとに色んな楽しみがあって素敵ですね。名張には支援機関の方とのつながりで何度か来ていたんですけど、事業者さんとの直接の関係性は今までなかったんです。花いかださんのお手伝いをするようになって、名張のまちとの距離が近くなった気がして嬉しいです。ここに来る前に少し時間があったので、観光してみようと思って名張藤堂家邸跡に行ったんですよ。ボランティアのおじいさんたちが名張の歴史を教えてくれて、めっちゃ楽しかったです。

熊倉:私たち、今年に入って名張に来るのもう5回目ですもんね。まだ3月なのに(笑)。花いかださんのお料理が食べたくて、ついつい来てしまうんです。

孝昌:いやー、ありがとうございます。地元の方が来てくれるのもありがたいですし、遠方の方がうちの店に来てくれて、名張のことを知ってくださるのも嬉しいです。先日も、奈良で働いていた時のお客様が関東からお越しになって。長崎から来てくれた方もいます。花いかだが川に浮かぶのを見たいから6月に行きますってご連絡をいただいたりね、お客さんにも恵まれています。


僕らの視点から伝えることで、新しい層の人たちにもお店を知ってもらいたい。

田中:たくさんの人に愛される、いいお店ですよね。熊倉がinstagramとかチラシとかを提案させてもらっているのも、この美味しさをもっとたくさんの人に知ってほしいという気持ちが強いからですし。

孝昌:色々と教えていただいて、心強いです。この冬は三重県にもまん延防止等重点措置が出て、一時は予約ががくっと減ってしまいました。提案いただいたテイクアウトは、パッケージを考えたりしているうちに通常営業に戻ったので、実現はできなかったんですけどね。そういうやり方もあるっていうのを頭に入れておけば、もしまた何かあった時に動けますし。

熊倉:前に握ってくださったおにぎりがすっごく美味しかったので……!気軽にテイクアウトできる商品があれば、近隣の方にお店を知っていただく機会にもなりますし。何より、私がもう一度食べたかったんです。

孝昌:別件でちょっと相談したかったのがね、お店の看板のところに、ランチメニューを置けたらいいなと思ってるんです。前を通った方が「ここ、なんやろ?」ってじっと覗いてくれるんですけど、入口が奥まっているので、看板だけだとやっぱり入りづらいみたいで。ランチのメニューと写真があったら、入りやすくなりますかね。

熊倉:いいですね。わかりました、ちょっと考えてきますね。こないだお聞きしていたチラシも、今日デザインの案を持ってきたので後でまた見てください。

孝昌:もう作ってくれたんですか!

田中:デザインやSNSの運用に関しては素人なので、できることは限られているんですけど、少しでもお役に立てたら嬉しいです。僕らの視点から色んな施策やアイディアを考えてお伝えすることで、従来の客層とは少し違う、新しい層の人たちにも出会ってもらえるといいかなと思っていて。僕ら世代にももっと知ってほしいし、今日みたいにまた色んな人を連れてきますね。

熊倉:以前、孝昌さんが「お客さまに幸せになってもらいたい」とおっしゃっていて、そのお手伝いができたらいいなと思いました。実際に、私もおにぎりやランチをいただいて、すっごく幸せを感じたので。知ってもらえる手段があるのに使わないのはもったいないと思って、色々とご提案させてもらっています。

孝昌:いつも優しくしてもらって、ありがたいです。これからもよろしくお願いします。今日は夜にまた皆さんで打ち上げに来てくださるということで、すごいプレッシャーを感じています。がんばります。

熊倉:夜の会席料理は初めていただくので、楽しみです!ありがとうございました。

[ 後編 〜事業承継〜 へ続く ]

協力:日本料理 花いかだ
文:柴田 明 写真:山本 容子

2022.04.22