2012.05.11
税務会計
今日は使用貸借について。
他人の土地を借りてそこに家を建てる場合、通常は土地の賃貸借契約を締結します。
上地部分については借地権設定の対価を支払い、底地部分については毎年地代の支払いを行うのが一般的です。
しかし、親が所有している土地に子供が家を建てた場合には、通常は地代や権利金を支払うことはありません。
では、他人との賃貸借契約では支払うはずの権利金や地代を払わないということは、子供は親から借地権相当額の贈与を受けたとして課税されるのではないかと考えられます。
結論からいえば、親の土地に子供が家を建てて土地の使用対価を払わなくても、使用貸借として贈与税は課税されません。
使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて|相続税関係 個別通達目次|国税庁
民法593条で「使用貸借」が規定されていますが、土地の無償の貸し借りがあった場合にはその借地権の価額はゼロとされ、贈与税は課されないこととなります。借り手が固定資産税などの租税公課相当額以下の支払いをした場合も、使用貸借に該当します。
使用貸借は、無償なので家を建てる場合であっても、借地借家法の保護を受けられないなど借り手は賃貸借契約に対して権利の制約を受けます。無償で借りているので返せと言われれば返さざるを得ないということです。
そうした制約を考慮すると、使用貸借における借地権の経済的な価値を賃貸借契約での借地権のように認めることは不合理です。
他人の土地の上に家を建てることができるという面では賃貸借も使用貸借も同じですが、建てた後の権利について大きな違いがあることは知っておく必要があります。
2012.05.11