2012.07.21
税務会計
税大ジャーナル 2012. 6に以下のような論文がありましたのでご紹介します。
税制の円滑な実施に大きな影響を与えている要因についての概論
前税務大学校長 荒井英夫(税大ジャーナル 2012. 6)
そして、税理士業務の税理士による「無償独占」は、税理士と税務執行当局によって、これらの相談への対応や申告の支援が必要としている多くの納税者に対して円滑に実施されていることを前提としているといえる。このため、このような観点からも、税理士は申告納税制度を税務執行当局とともに支える役割を担っているということができる。また、そのような立場であるため、税理士法が税理士に対して独立した公正な立場からの公共的な使命を求めた上で、同法において「無償独占」を定めていると考えられる。
税理士の登録者数は平成 23 年度末で72,635 人であり、国税庁の定員が減少し、その後微増にとどまる中、一貫して増加傾向にある(図 3 参照)。税理士は、税理士法の趣旨に則り、これまでも多数の納税者に対して無償で税務相談に応じ、昨年 3 月に起きた東日本大震災の際にも被災者に対する無料税務相談を行うなど、税制の円滑な実施に大きな貢献をしてきている。税務執行当局が「定員・予算の増加の困難化」に直面していることを考えると、申告納税制度を維持し、税制の円滑は実施を確保していく上で、その役割はますます重要なものとなっているといえる。
2012.07.21